ジュヴレ シャンベルタン ジェラールラフェ2015年 赤ワイン

HWYS評価⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

ジュヴレ シャンベルタン ジェラールラフェ
2015年 赤ワイン


アルコール13%
タイプ:赤
生産地:フランス、ブルゴーニュ地方 コート・ド・ニュイ地区 AOCジュヴレーシャンベルタン
品種・原材料:ピノノワール

飲んだ感想

全てが重厚で、ただ者ではない雰囲気を放つ一本。

飲む時期を選ぶ“上級者ワイン”です。

2025年に開けましたが、本領発揮はあと10年後。

特別にシュバリエの称号を持つシェフが開けてくださり、その瞬間からただならぬ気配が漂っていました。

ひと口含むと――

ドシっとした存在感。

素人でも「これは並みのワインではない」とわかる圧倒的な力強さ。

奥底に秘めたポテンシャルは、まるで宇宙のように果てしなく、まだまだ眠っているのです。

グラスを重ねるごとに少しずつ歩み寄ってくれる。

1杯目では鉄の扉の向こう側。

2杯目でようやく気配を感じ、

3杯目でほんの少しだけ心を開いてくれる。

「まだまだ本気は見せないよ」と言われているようで、挑戦を受けて立つ気分になります。

食事との相性は難しい。

辛子明太子や魚では、ワインが持つ重厚感と衝突してしまう。

これは料理と合わせるよりも、ワインそのものと向き合い、対話すべき存在。

ペトリュスのように。

変なクセはなく、むしろ瑞々しく素直。

だからこそ奥の奥に眠る本当の魅力を引き出すには、こちらのレベルアップが必要。

「もっと成長して、また会いに来い」と語りかけてくるような、そんなワインでした。

最後の一滴まで、ただ飲むだけではなく、“考えさせられる体験”を与えてくれる一本。

未来に再び出会う日が、楽しみで仕方ありません。

醸造所について

ジェラール・ラフェは、ブルゴーニュ屈指の銘醸地モレ・サン・ドニに拠点を置く造り手。そのお隣はなんと名門畑「クロ・デ・ランブレイ」。

2002年に父ジャンからドメーヌを継承し、名前も「ジャン・ラフェ」から「ジェラール・ラフェ」へと引き継がれました。ジャンはシャンベルタン・クロ・ド・ベーズの名手として知られ、ジェラールはその技を受け継ぎながらも、自らのスタイルを築き上げています。実際、代替わり直後にはロバート・パーカーから高得点を獲得し、確かな腕前を証明しました。

ただし、ジェラール本人はメディア対応や派手な宣伝には一切興味なし。

「美味しいものを造る。それだけで認めてくれればいい」――この言葉どおり、彼のワインは派手さよりも誠実さと伝統を大切にしています。

所有畑はわずか12ha。日当たりの良い粘土石灰質土壌から生まれるブドウは樹齢も古く、健康的で力強い果実を実らせます。収量は通常の規定よりもぐっと低く抑えられ(30〜35hl/ha)、そこから濃縮感あふれるブドウだけをワインに仕立てます。醸造は伝統的かつ自然体。新樽率は30%、樽熟成18ヶ月。瓶詰めは手作業、フィルターも通さず、畑の個性をそのままグラスに閉じ込めます。

結果として生まれるワインは、「モダン」と評されることがあっても、芯にあるのはブルゴーニュの古典そのもの。テロワールへの敬意と、自然に寄り添う姿勢が一貫しているのです。

まさに「静かなる実力派」。派手な宣伝ではなく、一口飲んだ瞬間にその価値を語りかけてくる。ジェラール・ラフェのワインには、そんな説得力があります。