シャトー・フルカ・オスタン 2015年 赤ワイン

シャトー・フルカ・オスタン 2015年 赤ワイン
HWYS評価⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
:外国語表記
Ch.Fourcas Hosten
酒類:赤ワイン
原産国:フランス ボルドー
葡萄種:メルロ 45%、カベルネ・ソーヴィニョン45%、カベルネ・フラン10%
生産者:エルメス オーナー一族2006年から所有
原産地域:リストラック・メドック
アルコール度数:12.5%
【飲んだ感想】
「シャトー・フルカ・オスタン」——時間が語る、静かなる名作。
グラスに注ぐ瞬間、まず立ちのぼるのは爽やかなレモンの香り。
その奥に潜むのは、ほんのりとした胡椒のニュアンス。
まるで、フレッシュな風が吹き抜けた後に、スパイスが静かに舞うような——そんな香りの層が、飲む前から想像を膨らませてくれます。
色調は濃く、それでいてどこか瑞々しい透明感。
香りだけで、すでに“凝縮感”を感じられるほどの存在感があります。
この香りを嗅いでいるだけで、ちょっとした余暇の時間が満たされてしまう。
そんな“香りだけで完結してしまう”ほどの満足感があるのです。
「人に教えたくない、秘蔵の一本」
このワインは、僕にとって“鬼リピート確定”の一本。
価格だけでは測れないほどの魅力があり、正直に言えば——
「これがなくなったら、ちょっと困るな」と思うほど愛しています。
口に含むと、まろやかで優しいアタック。
舌残りは控えめですが、後から訪れる余韻は長く、まるで一度去った波が再び寄せてくるよう。
この“二段構えの余韻”が、何とも心を掴みます。
️「温度が変える、表情の魔法」
冷やしすぎるよりも、少し温度を上げた方が断然おすすめ。
エレガンスが増し、味わいの立体感が際立ちます。
時間が経ち、温度がゆっくり上がっていくと——
コクが深まり、ほんのり“醤油のような旨味”が顔を出します。
決してくどくはなく、むしろ心地よい“余韻の旨み”。
シャトー・フルカ・オスタンは、
香りで心を奪い、味わいで感情を揺さぶり、余韻で記憶に刻まれる——
まさに“静かなる名作”。
飲むたびに新しい表情を見せ、
あなたの人生の“節目の瞬間”をそっと支えてくれるような、そんな一本です。

【醸造所について】
序章:ボルドーの静かな挑戦者
「エルメス一族が所有するシャトー」という名が、最初に耳にすると少し意外さを伴います。華やかなファッションの舞台裏に、静かにワインの壮大な舞台がある──そんなギャップが興味を掻き立てます。
リストラック・メドック(Listrac-Médoc)という、メドック地区の中でも知名度では目立たない村に、47ヘクタールを超える畑を抱え(公式サイト記載) 、この地のテロワールを最大限に表現しようとしているシャトーこそ、Fourcas Hosten です。
総合評価と飲み頃レンジ
公式技術仕様書には、Jancis Robinson による「Drink: 2022–2030」というアドバイスが載せられています。
つまり、「2015年は、すでに飲み始めてもいいが、2020年代中盤—後半にむけて熟成させていくポテンシャルも十分にある」と想像されます。
所有・運営と環境姿勢
シャトー Fourcas Hosten は、公式ウェブサイト上で、「自然との調和を重視」「テロワールを尊重する」醸造姿勢を掲げています。 また、環境保全型農法を志向し、「環境に責任あるアプローチを、日常の活動の中心に据える」ことを目標とする、という宣言もなされています。 公式観光案内などによれば、2020年11月に白ワイン部門で、2021年に赤ワイン部門で、ECOCERT(オーガニック認証) を取得し、シャトーの全葡萄畑が有機栽培に切り替えられている旨が記載されています。
こうした取り組みは、品質追求だけでなく、持続可能性や生態系との共生を意識したワイナリーとしてのアイデンティティを裏付けるものです。
ポジショニング
挑戦的な普及型高級ボルドー:超高価格帯ではないけれど、手を抜かずに投資と技術を注ぎ込み、値ごろ感と質感の両立を目指すワイン。 熟成可能性を持つ中堅ヴィンテージ:抜栓直後も楽しめるが、中~長期熟成での開化が見込まれる。 哲学的背景を持つ一本:有機栽培、環境認証、テロワール尊重という“現代的価値観”を積極的に取り入れているシャトーの姿勢が、味わいにも影響を与えている可能性が高い。
飲み手へのアドバイス
抜栓後は 1–2 時間程度のデキャンタージュがおすすめ。果実・土・香り成分の統合に時間を与えたい。 熟成余地があるので、もし購入したならば、今~2030年あたりまでの飲み進めを想定して、タイミングをずらしながら楽しむのが面白い。 保存環境(温度、湿度、光、振動)にできるだけ注意を払うことで、潜在能力を最大限引き出すことができる可能性がある。